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高齢者のかかりやすい病気や症状について

公開日:2017/06/23

地域によってかかりやすい病気がちがう?

高齢期になると加齢とともに免疫力や抵抗力などが低下し、生活習慣などから【高血圧】や【糖尿病】、筋力の低下から【腰痛】や【関節痛】、そして薬の服用により種類や量の多さなどから【認知機能の低下】に影響するなど、気づかないところで病気にかかりやすくなります。

現在日本では、総人口が1億2711万人に対して65歳以上の高齢者人口が3392万人(2017年内閣府)となり、1970年に高齢化社会(高齢化率7~14%)といわれてから1994年では高齢社会(高齢化率14%~21%)、そして2007年からは高齢化率21%以上の“超高齢社会”へと高齢化が変化し、高齢者のかかる病気も様々です。

高齢者に多い病気といえば、【ガン】【心疾患(心筋梗塞など)】【脳疾患(脳卒中、脳梗塞など)】などがありますが、厚生労働省の都道府県別死亡率(人口10万対、2016年)によると【心疾患】では、1位東京(16,898人)、2位は大阪(13,251人)、神奈川は3位(11,271人)ですが、【糖尿病】では1位が東京(1,180人)、2位は大阪(851人)、3位は北海道(730人)と、環境や生活習慣などの影響も含めて地域により違いがみられます。

今回は高齢者がかかりやすい病気や、日常生活のちょっとした変化から初期症状に気づくためのポイントなどについて解説していきましょう。

高齢者のかかりやすい病気と日常生活から気づく初期症状

ここでは、高齢者がかかりやすいとされている代表的な病気と初期症状についてご説明していきます。

認知症

認知症といえば、「物忘れ」や「アルツハイマー」といった言葉を耳にすることが多いと思いますが、じつは認知症には「アルツハイマー型」だけではなく、「脳血管性認知症」「前頭側頭型認知症」「レビー小体型認知症」などいくつか種類があり、原因や症状により違いがあります。

外出して場所がわからなくなったり迷子になってしまうといった“見当障害”や、食事をした後に「今日はご飯をまだ食べていない」など、数分前の出来事を覚えていない・経験したことが記憶からなくなるといった“記憶障害”。
これは認知症の人ほぼすべてに現れるといわれている【中核症状】です。
また、環境や心理状態などの影響から個人差により現れる症状があります。
【BPSD】といって、暴力・徘徊などの“行動症状”や、幻覚・妄想などの“心理症状”が現れます。
ここでは、認知症にはどのようなことが影響して、症状にはどのような違いがあるのかを、それぞれの特徴と共にご紹介していきます。

「アルツハイマー型認知症」

認知症の中でも半分以上を占めるのがアルツハイマー型です。

女性ホルモンの減少が関係しているといわれ、男性より女性のほうに多い認知症です。
初期には、『忘れ物や探し物が増える』『同じことを何度も聞き返す』『人の名前が思い出せなくなる』『約束したことや、時間・場所などがわからなくなる』といった症状が現れます。

「脳血管性認知症」

【脳梗塞】や【脳出血】、【くも膜下出血】などの“脳血管障害”によって起こります。

脳血管性認知症は、アルツハイマー型と比べて“記憶障害”は軽く、物忘れがあっても判断力や理解力の調子が良いときとそうでないときがあり「まだら認知症」とも呼ばれます。
初期症状として、『頭痛やめまい』『手足のしびれ』などがあります。

「前頭側頭型認知症」

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮していく病気です。

初期症状では、記憶はしっかりしているのに言葉がわからなくなる『失語』や、人格や性格が極端に変化したり、万引きや暴力など反社会的行動をするようになります。
認知症の中でも患者数が少ないのと一般的な認知症の症状がないため、周囲が気づかないこともあります。

「レビー小体型認知症」

アルツハイマー型は女性に多い認知症ですが、レビー小体型は男性に多く見られます。

レビー小体型の場合は物忘れといった記憶障害よりも、「部屋に知らない人がいる」と訴えたり、いるはずのない「虫が見える」などといった幻覚などの初期症状が現れます。
また食欲がなかったり、眠れない・元気がないなど「うつ病」のような症状や、手が震えたり身体のバランスをとることが難しいといった症状が現れ「パーキンソン病」と間違うこともあります。そのため、認知症の初期症状として見逃しやすくなる恐れがあります。

認知症の予防方法は未だ十分に確立していないといわれておりますが、現在では遺伝子治療や治療薬などの研究が進んでいます。

また日常生活での運動や栄養、睡眠などの介入が発症を抑制したり、原因によっては早期治療で治る可能性がある認知症もありますので、何よりも早期発見が重要だとされています。
早期発見の遅れから症状が悪化し、【BPSD】の“行動症状”や“心理症状”などが生じてから医療機関を受診しているケースもみられますが、初期症状が現れたら、まずは早めに地域のかかりつけ医や専門医療機関にご相談することをお勧めします。

【一般社団法人 認知症予防協会】

脳卒中・脳梗塞

【脳卒中】とは“脳血管障害”とよばれるもので、いくつか種類があります。

脳血管障害は高血圧が続くことで動脈硬化になり、脳の血管が詰まる【脳梗塞】や、脳の血管が破れる【脳出血】【くも膜下出血】など、血管障害の起こり方によって症状も異なります。

主な原因は高血圧ですが、他にも糖尿病や喫煙や肥満からも脳卒中を引き起こす要因といわれています。

また、脳梗塞の前触れといわれている症状がTIA(一過性脳虚血発作)です。

「突然症状が現れ、突然症状が消える」といった短時間だけ起こります。ほとんどが数分から数十分で治まり、最長でも24時間です。

一過性脳虚血発作の症状としては、『急な手足のしびれ』『食事のときに箸をよく落としてしまう』『ろれつが回らない、言葉が出ない』『片方の目が見えにくい』などがあります。

脳卒中は対応の遅れにより言語障害や脳性麻痺などの後遺症が残る恐れがあります。

適切な治療を行う上でも普段とは違う身体の変化を把握し、何かがおかしいと思ったら可能な限り早めに救急車の手配や専門医療機関に受診することが大切です。

また塩分や糖分に注意したバランスの良い食生活や、ウォーキングなどの軽い運動をすることが効果的な予防に繋がります。

脳卒中の要因となるメタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病を発見するためには、年に一度の健康診断や保健の指導を受け、日々の生活から健康管理を続けていきましょう。

心筋梗塞

【脳卒中】と同じように高血圧などが原因で動脈硬化が進行し、心臓の血管に影響するのが【心筋梗塞】です。

高血圧、喫煙、ストレスなどから動脈硬化がおこり、心臓の血管に血の固まりができてしだいに血管が詰まったり破れてしまい、心筋細胞が壊死してしまう病気です。
心筋梗塞は、メタボリックシンドロームなど肥満が影響して中高年の男性に多いといわれていますが、最近ではストレスから女性や働き盛りの若い年齢層でも発生するケースが増えているといいます。

また心筋梗塞も【骨粗しょう症】のように、症状が進行しているのかを目で判断できる病気ではないので、自分が発症しているのかを把握するのが難しいといわれていて、ある日突然倒たり死に至る場合もあります。

しかし前触れとして、『胸やみぞおちの圧迫するような痛み』『息切れ、呼吸困難』『吐き気や嘔吐』『不整脈』『冷や汗』『あごの痛み』などの症状が現れます。

また初期症状の代表的なものとして『突然の激しい胸の痛み』があり、胸の真ん中や左胸に痛みが集中します。

胸の痛みでも、15分くらいまでの場合は【狭心症】15分から30分以上の痛みが続くようであれば【心筋梗塞】の疑いがありますので、どちらにしても細心の注意が必要です。

痛みや軽度により違いがあり症状が落ち着いてしまうと、本人もご家族もあまり深刻に考えないで病院に受診せずそのまま過ごしてしまう恐れがあります。

しかし何かしら異常症状を感じたり繰り返し起こることがあれば、早めに専門医療機関に相談・受診をしたり、一刻を争う状況では素早く救急車を手配することが重要です。

【心筋梗塞】も【脳梗塞】と同じで、早期発見・早期治療が最も大切です。

治療法は状況によりカテーテル手術やバイパス手術が行われる場合があります。

また手術後の経過によっては、日常生活を行うためのリハビリや食事療法を行います。

心臓は毎日、昼夜休みなく働き続けています。

この心臓の動きによって体内に血液が巡り、内蔵や脳も毎日活動できるのです。

しかし加齢や生活習慣病などにより、高齢に近づくほど心臓への負担も高くなります。

日常では喫煙や飲酒などの生活習慣に注意して、規則正しくバランスの良い食生活や運動を続けることで心臓への負担を改善し、心筋梗塞などの虚血性心疾患を予防しましょう。

骨粗しょう症

年齢を重ねると身体の機能にも変化が生じ、高齢期になると「老化現象」といわれる症状が現れますが、【骨粗しょう症】もその一つです。

あまり知られていませんが、骨は体内で“古くなった骨を壊し、新しい骨を作っている”過程を繰り返しています。これは骨の新陳代謝ですが、年齢とともに新陳代謝のバランスが崩れてくると骨の密度が下がり、骨はスカスカの状態になります。

原因として、カルシウムやマグネシウムやビタミンDの不足、また運動不足や女性ホルモンの減少も骨粗しょう症の要因といわれています。

初期症状については、はっきりとした変化が現れず自覚症状がありません。

ただ、『背中や腰が痛みやすい』『腰が重い感じがして疲れやすい』『背中が曲がってくる』『背が縮んできた』など、ゆっくりと進行していくものや、『日常、物を持ち上げただけで手首を痛めた』『ちょっと転ぶだけで骨折してしまう』といったことで気づく場合もあります。

テレビやCMなどで「いつの間にか骨折」という言葉をご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、日常のちょっとした動作からいつのまにか骨折していたというケースも見られます。

また何かにぶつかったり転んだりしただけで、骨折や腰痛、そして寝たきりの原因になる場合もありますので、高齢になるにつれ注意が必要です。

あまり知られていませんが、骨は体内で“古くなった骨を壊し、新しい骨を作っている”過程を繰り返しています。これは骨の新陳代謝ですが、年齢とともに新陳代謝のバランスが崩れてくると骨の密度が下がり、骨はスカスカの状態になります。

髪の毛が白くなったり、肌にシワが増えたりといった目に見える変化とは違い、骨の老化は普段から見える部分ではないので症状の変化に気づきにくいところです。

しかし日々の生活から食事のバランスや体の動きの変化を意識してみることで、骨粗しょう症を予防することもできます。

カルシウムを含む栄養素を取り入れながら1日3食バランスの良い食生活を心がけたり、ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングといった骨に重力のかかる運動を続けることが効果的だといわれています。

(腰痛や骨折などの経験がある方は、安全のために整形外科医や専門医療機関に相談してから運動を行うことをお勧めします)

嚥下障害・胃ろう

私たちは普段の生活で食事をしたり飲み物を飲んだりしていますが、その時に突然食べ物が喉に詰まったり、むせたりした経験はありませんか?

高齢期になると食べ物が喉を通りにくくなったり噛む力が衰え、年齢を重ねるにつれて食事が上手く摂れなくなり、日常むせる回数が増えたり飲み込みにくくなってしまいます。

これを【嚥下障害(えんげしょうがい)】といいます。嚥下とは食べ物を飲み込むことを示し、加齢により上手に飲んだり食べたりすることが難しくなる高齢者に多い病気の一つです。

また飲み込みにくくなることで食べ物が食道ではなく気管に入ってしまうことを“誤嚥”(ごえん)といい、それにより食べ物が誤って肺に入ってしまうことが原因で起こる【誤嚥性肺炎】は、高齢者のかかりやすい病気の一つ【肺炎】に関わることでもあります。

こうした嚥下障害や誤嚥性肺炎、脳卒中などの脳血管障害で食事を摂るのが難しくなったり、病気で点滴からの栄養だけではなく栄養補給の手段を改善したい、といったことに対応した栄養法に【胃ろう】があります。

胃ろうとは、病気やケガなどが原因で口から食べ物を食べることができない人や、口に食べ物が入ることで誤嚥をおこす恐れがある人のために、胃に空けた穴から直接水分や栄養を摂取するために考えられた方法です。

高齢期になると感覚機能が低下することで濃い味付けを好むようになったり、料理が熱いのに気づかずヤケドしてしまったりといった変化が現れます。

高齢者の食事の好みや食べ方について、毎日の食卓で症状の変化を確認してみるのも嚥下障害など早期発見に繋がるのではないでしょうか。

日頃から「意識する」ことを心がけて健康寿命を延ばそう!

毎日の食事や健康管理、医療の進歩などによって、近年日本人の寿命は延びています。

現在、日本人の平均寿命は男性が80.75歳、女性が86.99歳(2017年厚生労働省)と、世界的にも長寿大国といわれております。

一般的によく知られているこの「平均寿命」は人間の寿命の長さを表すものですが、日常生活をする上で誰の助けも借りずに健康で自立した生活を送る期間を「健康寿命」(WHO2000年提唱)といいます。

神奈川県の平均寿命と健康寿命(2010年厚生労働省)の調べでは、男性は平均寿命80.36歳に対して健康寿命が70.90歳、女性では平均寿命が86.74歳に対して健康寿命が74.36歳、その差は男性が9.46歳、女性が12.38歳となっており、どちらも健康な状態で過ごせる期間が平均寿命に対して短い状況にあります。

お役立ちメニュー『 未病チェックしてみませんか? 』の中でもご紹介していますが、元気に毎日を過ごし「健康寿命」を延ばすためには、“普段の生活の中で健康な状態に近づけることを意識しながら病気になることを未然に防ぐ”ことが大切です。

現在、国や地方自治体では、「健康寿命」への様々な取り組みを行っています。

また全国でも一、二を争うほどのスピードで高齢化が進んでいる神奈川県でも、「未病」の他に「健康寿命」についても活動しています。私たちの健康な暮らしのためのヒントとなる情報がありますので、ぜひ下記のサイトも参考にご覧になってみてください。

【厚生労働省HP】

厚生労働省では平成23年2月から、国民全体が人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標とした「スマート・ライフ・プロジェクト」という活動を行っています。
“健康寿命をのばしましょう”というスローガンや、運動・食生活・禁煙の3分野を中心に生活習慣予防に繋がる具体的なアクションの呼びかけをしています。

【神奈川県HP】

神奈川県では、“超高齢社会”に対応し健康寿命日本一を目指して「ヘルスケア・ニューフロンティア政策」を行っています。
これは「未病の改善」と「最先端医療・最新技術の追求」の2つアプローチを融合させることで、誰もが元気に長く生きていくための新たな取り組みです。
 また健康寿命をのばすため、運動やスポーツを日常生活でも取り入れ1日30分、週3回、3ヶ月続ける「3033運動」も進めています。

高齢者のかかりやすい病気と症状についてまとめた「高齢者のかかりやすい病気データ」をご用意しました。ダウンロードしてご活用ください。

ダウンロードはこちらから

高齢者のかかりやすい病気データ(PDF 151.7KB)

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